何者にもなれないぼくたちは

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松坂屋美術館「THE ドラえもん展 NAGOYA 2018」

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松坂屋美術館で今日から開催されている「THE ドラえもん展 NAGOYA 2018」に行ってきた。

 

今回のTHE ドラえもん展は「あなたのドラえもんをつくってください」をテーマに、28組のアーティストが作品を制作し、
2017年の東京・六本木 森アーツセンターギャラリーで開催された。その後、全国を巡回することが発表され、F先生の故郷の高岡についで3番目の開催場所として名古屋が選ばれた。
たいてい名古屋ってあとまわしにされることが多いので、発表されたときは驚いた。

 

ふつう現代美術というと取っつきにくさを感じてしまうし、何を表現しているのかわからないことがあるが、
ドラえもん」という具体的なアイコンを足がかりにしているだけあって、「何を」表そうとしているのか明確にわかる。そのおかげで各アーティストがどう表現しようとしているのか、その表現技法を存分に楽しむことができる。

現代美術らしい作品もあれば、ドラえもんのファンアート的な親しみやすい作品もあり、「このコマ見たことある!」や単純に「スゲー」と気軽に楽しむことができる。

村上隆氏や渡邊希氏の作品は色々探してしまうし、クワクボリョウタ氏と後藤映則氏の作品はこういう表現のしかたがあるのかと発想の柔軟さとそれを実現する実力の高さに感嘆する。

渡邊希「タイムドラベル」(一部)
こーんな顔した

 

奈良美智氏の作品もいわゆるチラ裏にスケッチが書かれているのだが、独特の目の力強さと相待って不思議なやわらかさがある。
奈良美智「ドラミちゃんのためのスケッチ」(一部)

 

村上隆氏や奈良美智氏などは前回の2002年のTHE ドラえもん展に引き続きの参加で、前回の作品も併せて展示されている。
前回から15年経って、ドラえもんの声優陣の交代や川崎の藤子・F・不二雄ミュージアムの開館、東日本大震災など、ドラえもんや日本そのものに様々な変化があった。作家自身にももちろん変化があっただろう。
並べられた作品から、その変化を読み解くのも面白い。

15年も経てば流行も変わる。
近年そこここで見られるようになったプロジェクションマッピングを取り入れた作品(西尾康之氏)もあったし、
SNSでたびたび話題にあがる黒板アート(れなれな氏)もあり
映像作品も2作ほどもへんてこなゆる〜い映像(しりあがり寿氏、シシヤマザキ氏)があり、現代芸術そのものの潮流の変化も楽しめる。


れなれな「静かな決意」(一部)
チョークの粉が散らばってるのがいいよねって写真

さいごに

今回の展覧会を観ているとドラえもんへのあふれんばかりの愛が伝わってくる。Fミュージアムもそうだが、ドラえもん愛の熱量が半端ないのだ。
現代美術というよりもドラえもんのファンアートの祭典ともいうべきか。
28組は最初すくないと思ったが、1つ1つの熱量があるので観るのに疲れ切らない程よい量だった。所用時間もパーっとみて1時間、観入っても2時間あれば廻れる程度。

余所でも批判されていたが、現代美術を標榜するわりに鋭い作品がなかった。
映像やインスタレーション作品を除いて、作品が撮影可能ということでパシャパシャとスマホのカメラにおさめている人がたくさんいたし、わりあい大きな声であーだこーだ喋っている人もいた。初日なのである程度騒がしいのはしかたがないとして、
現代美術の展覧会というよりも、楽しげなイベントという意味合いが強いように感じた。(松坂屋美術館自体そういう側面がある)

ドラえもんが好きだというなら是非とも観に行くべきだが、
純粋に現代美術を観に行くなら、おもしろい作品もいくつかあるが、物足りなさを感じると思う。

thedoraemontentokyo2017.jp