何者にもなれないぼくたちは

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【2019秋冬旅】ドイツ・デッサウのバウハウスへ

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 バウハウス(Bauhaus)をご存知だろうか。

Apple無印良品のデザインにも影響を及ぼしているバウハウスは、
1919年に開校した造形学校だ。
古典的な芸術を推奨し、近代的な芸術を退廃芸術として睨めつけたナチの弾圧などにより、わずか14年で閉校した。

わずかな歴史しか持てなかったバウハウスだが、同校が生み出した理念は、現在まで生き続けている。
バウハウスが打ち出した「工業と芸術の統一」という理念。
歴史をみると技術力がピークまで達すると、洗練さを求める揺り返しが起る。アーツアンドクラフツ運動や安土桃山文化がそれだ。
バウハウスが誕生する前夜も、大量生産によってつくられた粗悪な製品がドイツにはあふれていた。
芸術性や利便性を担保しつつ、生産性を両立した工業を目指し、「工業と芸術の統一」を掲げるバウハウスが興された。

 

「芸術とは目に見えるものを表現するのではなく、見えないものを見えるようにすることである」という言葉を残したパウル・クレー(Paul Klee)など、前線に立つ教師陣(マイスター)のもとで、
色彩や光、形態を理論的に捉えることに苦心し、
要素を分析した抽象絵画や、人間の姿勢を意識した家具、工業化を迎合した合理的な建築などが生まれた。


既成概念に捉われず、合理的な構造や材料の選択によって生まれる見た目の美しさと生産性に優れたバウハウスのデザインは、今日でもApple無印良品をはじめとして、多くの工業製品に見ることができる。

 

バウハウス デッサウ校

バウハウスの顔といえば、バウハウス デッサウ校。
今では珍しくないガラスをふんだんに使用したコンクリート建ての建築も、当時は衝撃的で世界中で話題になったそう。いままでガラスは窓に使われる程度だったのを、外壁として採用するのは目新しいことだった。ガラスも工業化で均質なものが大量につくれるようになり、建築材としての選択は合理的な判断であったといえよう。 

全面的にガラスを張っているため、校内は明るい。実技もしやすそうだ。

すべての窓がはめ殺しではなく、一部の窓は開閉するようになっている。

踊り場にはバウハウスの1期生で教師も務めたマルセル・ブロイヤー(Marcel Breuer)が名作ワシリーチェアが。

校舎の横には学生寮が立っている。迫り出したバルコニーの落とす影が刻一刻と形を変える様が美しい。
なんとこちらの学生寮、いまは宿泊施設として開放されている。

www.bauhaus-dessau.de

校舎に入っただけでも、マイスターや学生が過ごした空間を共有している感動に打ち震えていたが、その空間に住うことができる。贅沢な時間だ。予約取ればよかったなと後悔している。

 


チケットは以下の通り(2019年現在)

チケットとガイドツアーは、18歳以下は無料とのこと。なお後述のバウハウスミュージアムも入れるチケットはなかった。
施設内で写真を撮るのには写真撮影料が必要で、こちらは1度支払えば、バウハウス デッサウ校・マイスターハウス・ミュージアムすべてで撮影可能。

 

デッサウ駅までは、ベルリン市内(Zoo駅)からドイツ国鉄(DB) で1時間30分ほど。

 

 


バウハウスミュージアム デッサウ

ドイツを訪ねた2019年は、バウハウス開校から100年の節目ということで
ワイマールとデッサウにバウハウスミュージアムが開館した。(ベルリンのバウハウスアーカイブは2022年まで改装のため閉館中)

デッサウ校とミュージアムは、それぞれデッサウ駅を挟んで正反対の場所に建っている(なぜ近くに立てなかったのか)

外観はデッサウ校の意匠を踏襲してか、全面ガラス張り。
バウハウスのマイスターのひとり、ミース・ファン・デル・ローエ(Mies van der Rohe)が見出した、鏡面のように風景をうつす、ガラスの反射性が生かされ周囲の景観に染まっている。

ミュージアムは2階建てで、1階はチケット売り場やショップ、カフェが置かれた広い空間になっている。
展示室は2階で、重い鉄製の扉で区切られている。1階ではイベントが催されるということで音が響かないためだろうか・・・。

展示室は大きく3つの空間に分けられていて、1つ目の部屋ではバウハウスが生み出した製品のコンセプトを解剖していた。

 

2つ目の部屋には大きなオレンジ色の什器が鎮座し、テキスタイルからグラフィック、家具までバウハウスゆかりの品々が所狭しと並べられていた。

3つ目の部屋には家具がいくつか並べられていたけど、いまいちコンセプトがわからなかった・・・。

正直なところ、ひと部屋目はおもしろかったけど、以降はまとまりがなくて何だかなぁ・・・という感想。

 

ミュージアムのチケットは、
一般が€8.50、学割は€5.50、18歳以下は無料。

www.bauhaus-dessau.de