何者にもなれないぼくたちは

日々思った事、やってることの備忘録

iPhoneを選ぶ理由はわかるが、買う理由がない

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 iPhoneの新機種 XS/XS MaxとXRが発表された。

新製品が出るたびにジョブズガーという声が挙がるが(ぼく自身ジョブズ信者なので気持ちはわかる)
クリエイタ向けで、かつ動画や電子書籍などの同社が販売するコンテンツも楽しめるビジネスモデル的にも優れた製品だと思う。
ジョブズらしいかといえば、そうではないが・・・。

発表会をライブで見ていたが、バスケのデモなどひと昔前なら高性能なコンピュータや専用のモーションキャプチャが必要だったのが、iPhone1台で、標準のカメラだけで、人体の動きからボールの軌跡までリアルタイムに抽出していて、未来がきたと驚かされた。

あれもこれも高性能なCPUやその他優れたパーツを搭載しているからで、おかげで何でもできる。何でもできるが、それ故に買う理由が見つからない。

 

何でもできるの呪縛

Appleの製品で色々な創造的活動ができる製品はMac、iPad、iPhoneだろう。

 

Mac

ラインナップとしてはiMacとMacBookシリーズ(MacBookとAir、Pro)、miniにMac ProとiMac Proがある。
USBやThunderbolt、イヤホンジャックを備え拡張性が高く、やろうと思えばWindowsやLinuxも入れられる。
性能に雲泥の差はあるが、いずれも出来ることの幅の広さはiPad/iPhoneの追随を許さないのは言わずもがなだろう。

 

iPad

持ち運びしやすい簡易PCという立ち位置だろうか。
画面も広く、iOS向けに操作が単純で素人でも使いやすいAppが多い。
Apple Pencilの登場でぼくのように電子ノートとして使ったり、イラストを描くことが容易になった。
Proならほぼ正確な色を実現しているので映像編集にも適している。
プログラムやWebサイトのコーディング、雑誌の編集業務をiPadでこなす御仁もいる。

 

iPhone

XSなど上位機種にはデュアルカメラと高性能プロセッサが搭載され、カメラとしての性能も高い。
XSでは正確な色が実現されているので、iPhoneで写真や動画を撮って、そのまま編集・出力することもできる。
iPhoneでイラスト描いていますという絵師の方も何人か見たことがある。
体裁を整えることは難しいが、iPhoneで長文を書くこともできる。学生の中にはフリック入力の方が速いし場所を選ばずに書けると、レポートの文をスマホで書く層が一定以上いる。高城剛氏もLife Packingの中で、iPhoneと折りたたみキーボードと組み合わせて長文を書くことができると紹介していた。
ただMacやiPadと比べて画面が小さく(とはいえKindleとほぼ同じ画面サイズ)
クリエイト系のAppもMacやiPadと比べると少ない。

 

 

ぐだぐだと書いたが要するに、以前はiPadやiPhoneはコンテンツを消費するデバイスで、創造的なことをするにはMacが必要だった。
ジョブズもMacを中心としたデジタルハブの構想を掲げるとともに、Macをプロフェッショナル向けと一般消費者向けの2種類にわけ、製品ラインナップを削ぎ落とした。

しかし技術進化が進み、もはや多数の専用機器で構成されたハブなど必要なく、iPhone1台で全てを賄うことも可能になった。
その事はiPadやiPhoneでもプロフェッショナル向け製品が出たことからも明らかだろう。
(iPhoneは一般消費者向けとプロ向けで価格と性能で明確な差異が少ないが)

iPhoneで何でもできるようになったが、そんな高度(で高価)な製品を何台も持つ必要なくなってしまう。
元からiPhoneでいろいろこなしている人ならまだしも、MacやiPadで作業環境を構築している場合、iPad ProやMacBookに手が届く価格のiPhoneを買うのは抵抗がある。

ぼくの場合、主な作業はMac、写真の編集はiPadでこなしている。
iPhoneは外でのネット通信とiPod、スマホ決済(Origami Payとスターバックスカード)用に割り切り、安価でコンパクトなiPhone SEを愛用している。
iPhoneに求めるのはコンパクトさと他のApple製品購入資金を食いつぶさない価格であって、高級なiPhone Xシリーズに用はないのだ。(Apple Payはうらやましいけど)

 

 

さいごに

革新的な携帯電話、タッチコントロールの付いたワイドスクリーンiPod、画期的なインターネット通信デバイスとしてiPhoneが発表されて11年。
手のひらに収まる筐体で、ちょっとしたパソコンと同等以上のスペックになり、あらゆることを1台でまかなえるようになった。
しかし何でもできるが故に、スマートフォン以外のものと競合するようになってしまった。
作業をするためのデバイスとしてiPadやMac。他にもデジタルカメラや電子書籍、携帯ゲーム機・・・。
iPhoneには優れた点がたくさんあるし、ジョブズらしさはなくなって物足りないものの未だ世界で最も親しみやすく使いやすいデバイスであることには変わりがない。
数あるスマートフォンの中でiPhoneを選ぶ理由はある。
ただ優れすぎているが故に、他ジャンルの製品もがライバルになってしまい、購入に二の足を踏んでしまう。